スーパーバッド

スーパーバッド、よかった!
グレッグ・モットーラアドベンチャーランドへようこそ、宇宙人ポール、スーパーバッドの順番でみたけど、どれも男の子(宇宙人ポールではおっさんになりかけてるけど)が大人になるための瞬間、そのためのそれぞれの通過儀礼を一貫して描いてる。
特にスーパーバッドとアドベンチャーランドへようこそはストーリーも派手じゃないけどそれでも男の子が大人になろうともがく姿、大人になることへの不安が伝わってきてすごくいい!

スーパーバッドのストーリーはモテない高校生の童貞二人、デブでよく「ファック、ファック」とヤリたい願望が言葉からぶんぶんにじみ出ているいうセス(ジョナ・ヒル)と顎関節症で口を大きくかけられないのか、というぐらいぼそぼそしゃべる気弱な感じのエヴァン(マイケル・セラ)。二人は高校卒業前になんとか童貞を捨てたく、おたがに気がある女の子が参加する土曜日(当日)のパーティになんが何でも参加したく、お酒を買ってくる、と約束してもう一人の童貞、ニセIDを手に入れたエヴァンよりさらにひょろひょろなフォーゲル(クリストファー・ミンツ=プラッセ)と三人で酒を買いにいくが、そこからドタバタに巻き込まれてパーティに間に合うか?みたいな話。

表紙をみて三人が巻き起こすドタバタコメディかと思いきやこれはまぎれもない傑作青春映画でした!てっきり三人でずっと行動するもんだと思っていましたが、酒を買いに酒屋にひとりフォーゲル(ニセIDの名前がMcLovin!)を行かせる事から話はセスとエヴァンの友情と女の子をテーマにした試練とひょんな事からバカな警官(ビル・ヘイダーセス・ローゲン!これじゃまともな警官役なわけない!)と行動する事になったフォーゲル(というかマクラビン?)の大人と過ごす事での試練(というか何だか楽しそうですが)をカットバックしながら映画は進行しています。
と言うより中盤から主人公はフォーゲルと警官なんじゃないのか?と思うぐらいこの三バカトリオのテンションがサイコー!とにかく警官は最初の取り調べみたいなもの以降まともに仕事をしていない。酒は飲むは交通標識に拳銃で発砲するは、フォーゲルに平気で発砲させるは最後の最後でとんでもないことするし。しかし後半でフォーゲルに放つセリフに本当に泣かされます。フォーゲル役のクリストファー・ミンツ=プラッセは確かこの作品がデビュー作ですがしゃべり方、声などかなりあたり役、かつ優秀な先輩コメディアン、ビル・ヘイダーセス・ローゲンのフォローによりかなりいい仕事になったんじゃないでしょうか?その後もキックアスでレッドミストとしてかなり笑わせてもらいました。最高のボンクラキャラ!

中盤で完全に映画の主役が三人になった感があったけど、セスとエヴァン、後半から巻き返し、ラストは個人的にゴーストワールドのラストに匹敵するぐらいの旅立ちが描かれている。もうこのシーンだけでも最高!旅立つ前のぎこちない会話。

しかしフォーゲルの事でちゃんとオチをつけるというか、投げっぱなしにならず一度フォーゲルでおとし、そしてセスとエヴァンへのラスト、というのがこの映画によりいっそう輝きを持たせた印象。友情をとおして描かれる通過儀礼、大人と共に行動する事で大人になっていく通過儀礼、その二つが平行線にあるのではなく時々交差していくように思えました。そこがただばか騒ぎしているコメディ映画とは一線を画する映画になったと思います。

あとタイトルですが、童貞ウォーズとしょうもないタイトルつけられててスーパーバッドだけでもいいのになあ、と思います。よく類似性をあげられていた「アメリカングラフィティ」は未見なのでみときます!